近年、「土地所有者不明問題」がメディアで取り上げられています。例えば空き家になってい
る家の庭に背丈ほどの雑草が生えて、夏場になると蚊が大量に発生して迷惑しているとか、明
らかに空き家とわかる家に誰だかわからない人が出入りしているとか、自治体の方々も問題の
発生している空き家が誰が所有しているのかわからないケースも多く見受けられます。今回は
「土地所有者不明問題」と相続登記の義務化について調査します。
土地所有者不明問題とは
「土地所有者不明問題」とは、土地の所有者の所在が、行政の台帳を見てもただちに分からな
い状態のことをいうのであって、土地の所有者が誰もいないという事ではありません。レアケ
ースとして誰もいないという事はある。殆どのケースは登記されている住所から転居していた
り、すでに死亡していたりするために、すぐに誰が土地の所有者なのかという情報が取れない
というのが現状のようです。相続人に連絡が付いたとしても海外にいたり、相続人が日本全国
に散らばってい居住している場合などは、すべての相続人の許可をとる必要がありますので、
最悪なケースを考えるとかなり時間がかかってしまう事になります。万が一連絡が取れない相
続人が1人でもいればその土地に立っている家は空き家状態を続けることになります。
現状は相続登記は義務ではない
現在、相続登記は義務ではありません。相続によって代替わりがおこっても、土地を担保にロ
ーンを組む必要がなく、売る見込みもないとなれば、名義が古いままでも困りません。つま
り、相続登記を行う必要がないのです。ですから相続登記が任意で行われる事から「土地所有
者不明問題」ということが起こってしまったわけですね。
土地の相続登記の義務化へ
法務省は2020年秋にも想定される臨時国会に、民法や不動産登記法の改正案の提出をめざす。
新制度
〇新制度では被相続人の死亡を証明する書類があり、自分が相続人の一人だと証明できれば相
続人全員がそろわなくても簡易的に登記できるようにする。
〇被相続人の死亡後、一定期間のうちに登記しなければ罰則を科す。登記を怠った相続人への
罰金では「10万円以下」や「5万円以下」といった案が検討されている。
〇遺産分割を協議できる期限を「10年」と定める。
〇相続開始から10年で協議や申し立てがなければ法定相続分に従って分割可能にする。
〇「所有を巡って争いが起こっておらず、管理も容易にできる」のを条件に、所有権の放棄を
可能にする。法人による放棄は引き続き認めない。放棄された土地はいったん国に帰属さ
せ、地方自治体が希望すれば取得できる仕組みを検討していく。再開発など土地の有効活用
につなげる。
最後に
「土地所有者不明問題」が解消できれば、再開発のスピードアップにもつながりますし、震災
などで倒壊した家屋などをどうにかしたいといった時にもスピード感をもって対処もできるよ
うになり現時点よりもかなり解消されてくると思います。