引っ越し大名は江戸幕府の転封(てんぽう)のこと

2019年8月30日(金)より映画『引っ越し大名!』が公開されます。星野源さんが主演のこの

映画前評判的には面白い映画とのことです。

江戸幕府で転封(てんぽう)と言う制度があり、今回の映画のテーマである「お引越しは」大

名を役職と例えるなら、現代風に言うと「転勤」という事になります。江戸幕府の転勤は、単

身赴任と言うわけには行くはずもなく、家族を始め家臣すべて大名にかかわりのある人全員が

移動するという事で当時は大変にお金がかかったという事ですね。当時の言葉で「国替え」と

いう事になります。まさに大移動ですね。

今回は江戸幕府の転封について解説します。

大名の種類

大名には種類(区別)がありました。詳細は以下です。

親藩(しんぱん)

徳川家康の男系子孫たちのことを指します。

御三家(ごさんけ)
尾張徳川家:徳川義直(家康の9男)を初代とする子孫
紀州徳川家:徳川頼宣(家康の10男)を初代とする子孫
水戸徳川家:徳川頼房(家康の11男)を初代とする子孫

御三卿(ごさんきょう)
田安徳川家:徳川宗武(8代将軍、徳川吉宗の次男)を初代とする子孫
一橋徳川家:徳川宗尹(8代将軍、徳川吉宗の4男)を初代とする子孫
清水徳川家:徳川重好(9代将軍、徳川家重の次男)を初代とする子孫

御三卿というのは、お世継ぎ不在の時に力を発揮する大名です。万が一の際の最後の砦的な存在ですね。徳川吉宗が作りました。また、田安・一橋・清水は地名の事(住んでいた場所)の事です。親戚という事になります。

御家門(ごかもん)
越前松平家:結城秀康(徳川家康の次男の松平秀康の子孫)
会津松平家:保科正之(2代将軍、徳川秀忠の4男)を初代とする子孫
越智松平家:第6代将軍、徳川家宣の弟の松平清武の子孫
譜代(ふだい)大名・・・主に関ヶ原の戦いより前に家康に従った大名で幕府の主要な役職に

就任する資格があります。

外様(とざま)大名・・・関ヶ原の戦い以後に徳川家に従った大名

大名統制

幕府の転覆や不穏な動きをしないように様々な決まり事を制定しています。

〇一国一城令:大名の居城は1つのみとし、あとは壊せという制度

〇武家諸法度(ぶけしょはっと):文武弓馬の道に励むことや、幕府の許可を得ないで婚姻を

したり、城を修理する場合は幕府の許可をとるようにするという制度

〇参勤交代(さんきんこうたい):領国と江戸に、原則として1年交代でいることを義務付け

人質作戦ですね。

違反者には?

この武家諸法度に違反したり、跡継ぎが不在の場合には、幕府は容赦なく大名を取り潰し行い

ます。改易(かいえき)という。

領地を削減する減封(げんぽう)、領地を別の場所に取り替える転封(てんぽう)などが行わ

れました。また、転封や参勤交代は大名達にとって大変お金と時間と手間がかかることで、当

時はかなり大変な事だったと思われます。

転封は別に悪いことをやっていなくても、むしろ逆に加増されて転封されることもありまし

た。まあ、転勤みたいなものでから、越前松平家出身で、松平直基を初代とする家の場合は、

勝山(福井県)3万石を皮切りに、東は山形から西は日田(大分)へ、最後は前橋17万石に

まで領国は増えましたが、江戸時代を通じて12回も転封させられました。しかも、山形には

2回、姫路に3回、前橋に2回も転封されています。大変な出費だったようで財政はもちろん

赤字ですね。

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