2020年から本格的に始動する「第5世代移動通信システム」5Gですが4Gに比べて電波の
飛ぶ距離が短いという事で、単純に「基地局が何倍にも増える」という事になります。特に都
心部においては鉄塔を建てるスペースがないのでビルの屋上に置く場合が多く、場合によって
は人が多く行き来する場所であったり、居住スペースに隣接している場所に設置する場合も少
なからず出てくることが予想されます。今回はそんな素朴な疑問「電波が人体に与える影響」
について解説していきます。
「刺激作用」
電波があたっている金属にさわると、人体に電流が流れます。また、電波の影
響によって体内で誘導電流を生じる場合もあります。これらの電流がある程度
の強さ以上の場合、「ビリビリ」「チクチク」と感じます。これが電波による
「刺激作用」です。
この感覚は電波の周波数と関係していて、数十Hzのような非常に低い周波数で
感じやすいのですが、周波数が高くなるにつれて次第に感じなくなり、数百
kHz程度になるとほとんど感じなくなります。つまり、電波の周波数が高くな
るほど影響が薄れてくるということです。
電磁環境委員会より
「熱作用」
電波が人体にあたると、その一部は反射されますが、一部は人体に吸収されま
す。吸収された電波のエネルギーは熱となり、全身又は局所的に人体の体温を
上昇させます。この体温上昇によって起きる生体作用を「熱作用」といいま
す。
強い電波が体に当たると、体温が上昇して温かく感じます。この熱作用も周波
数によっていくらか変わりますが、数百kHzより高い周波数では、刺激作用が
非常に弱くなるために熱作用が主になります。
吸収される電波のエネルギーが極めて強く、約1℃以上深部体温が長い時間上
昇する場合には、生体に悪影響を与えるということが多くの動物実験から知ら
れています。
ただし、約1℃以上の深部体温上昇を引き起こすには、安静状態で全身に1kgあ
たり約4Wもの電波のエネルギー(全身平均SAR※で4W/kg)を吸収する必要
があります。しかし一般人の日常生活では、このような大きな電波エネルギー
を吸収することはないので、熱作用による人体への影響はほとんど気にする必
要はありません。
スマートフォン・携帯電話や放送で使われている電波の周波数においても熱作
用が主ですが、その作用が充分小さく、人体に影響が無いような強度になるよ
うに電波防護指針で定められています。
電磁環境委員会より
電波防護指針とは
電波防護指針とは、電波の人体に対する安全性の基準のことです。我が国で
は、平成2年と平成9年に、総務省(旧郵政省)電気通信技術審査会が、過去40
年以上にわたる国内外の研究結果に基づいて、10kHzから300GHzまでの電波
を対象にまとめられました。電波防護指針は、国際的な指針とほぼ同じ値であ
り、人体への影響を考慮した十分に安全な値となっています。
電磁環境委員会より
基礎指針 ~人体の安全性評価の基準~
基礎指針は、電波の生体作用(刺激作用と熱作用)を考慮した人体の安全性評
価の基準となる指針です。例えば基地局からの電波の場合、全身平均SARで評
価を行いますが、約4W/kg以上になると熱作用により人体に影響が出るため、
10倍の安全率を考慮し0.4W/kg以下であることが定められています。
電磁環境委員会より
管理指針 ~基礎指針を満たすための物理量~
管理指針は、基礎指針を満たすための実測できる物理量(電界強度等)を定め
たものです。管理環境と一般環境に分けて規定しています。
両者の違いは、管理環境は電波を職業的に取り扱う人を対象とし、一般環境は
それ以外の一般の人を対象として定められている点です。そのため、一般環境
の指針値は、管理環境からさらに5倍の安全率を考慮し0.08W/kg以下であるこ
とが定められています。つまり、一般環境の管理指針は50倍もの十分な安全率
が考慮されています。
電磁環境委員会より
2020年からは電波の自己管理が一番
電磁波測定器トリフィールドメーター(TRIFIELD EMF meter model TF2)
電磁波測定器トリフィールドメーターTF2は、交流磁界、交流電界、ラジオ波/マイクロ波の3
つの電磁波を標準・曝露の2モードで測定できる簡易型電磁波測定器です。家や職場の電化製
品や電気機器、屋内配線からの電磁波を測定できます。
実際にトリフィールドメーターを使用して、現在居住している空間で測定してみたりしたらよ
いかと思います。
特に5Gの活用で必要となる基地局が町中に設置されることになりますから、色々と歩いて調
べてみるのが一番ですね。
強い電磁波がある場所に近づかなければよいのですから。
現状は同時進行で
現状は上記のとおりで、国内においては、厳格な基準値による管理により、健康被害と電磁波
との関わりは確認出来ていない。
5Gになることにより、より強い電磁波が求められることになりますが、現状と言うことより
2020年からどのような健康被害が出てくるのか同時進行で確認していくしかないですね。